WTTCという民間療法と中山恒明先生の話
いつもアクセスを感謝いたします。
本日は、WTTCという民間療法の情報を私なりに考察してみました。
「WTTC」に関しては私の思い入れも強く、ご興味ありましたら拙い文ですがお読みください。
【WTTCとは?】
WTTCという名の由来は、以下4つの各薬草のラテン名の頭文字をとったものです。
後述する中山恒明医師が研究発表用に便宜的に名付けたと伺っております。
これは、純然たる漢方処方ではなく、我が国の古くから伝承される「民間療法」の一つです。
■藤 (藤コブ) (Wisteria floribunda)のW
■ミロバラン(訶子、カシ) (Terminalia chebula)のT
■菱(菱の実) (Trapa bispinosa)のT
■はとむぎ(ヨクイニン) (Coix lachryma-jobi)のC
これら4つの薬草を各10~15gを混合し、煎剤とし、服用を継続することにより、4種の薬草の相乗効果により、体内にできる異物や「できもの」を除去するとの言い伝え(伝承)があった模様です。
【WTTCの臨床と正式公開は西洋医学のドクターから】
医師の中山恒明先生と、横須賀にある薬局の胃腸薬(船越の胃腸薬)との接点は不明ですが、おそらく自身が担当されている患者さんからの情報がきっかけで研究に取り組まれたのではないかと私は推察いたします。
正式に学会におけるWTTC製剤の紹介は、昭和34年、癌の研究で著名な外科医、中山恒明先生(当時の千葉大医学部教授)により、当時の医師会雑誌を通じてなされました。
根治手術不能の胃がんや食道がんの患者に対して民間療法であるWTTCを煎服させると、症状の改善と延命効果があったと発表されました。
今でこそ漢方治療は各科臨床医学会への発表において一般化していますが、当時の臨床においては漢方治療に対する懐疑的な風潮が当然ながらあったと思います。

重ねて、一般漢方処方でもなく、ほとんど日陰に置かれていた伝承の民間療法を臨床で用いてみたという出来事は、多分にセンセーショナルではなかったかと思います。
それが我が国における消化器外科学会、西洋医学の著名な医師が発表したわけですから、なおさら反響は大きかったと想像できます。。あくまでも、私の勝手な想像ですが。
(日本医師会雑誌、第41巻第12号、945頁、昭和34年)
(誌の内容抜粋)
「WTTCを服用させた168例は、手術不能のものや試験開腹のものが47例、がんの切除ができずバイパス手術を行ったものが36例、
その他が根治度の低い手術を行ったもので、この中でWTTCを3ヶ月間以上服用できたものが36例で、その長期服用によって有効と認めたものが30例あった。」「副作用はほとんど無く、胃切除の患者に下痢が1例に認められただけであった。
このWTTCを根治手術不能の胃がんや食道がんに飲ませると、概ね20%くらいの患者が非常に良く効いたと言っている。
食欲が出る、通じが良くなる、腹水のあるものは腹水が減るという症状の改善も多くみられた。」
この発表の後も、進行がん患者におけるWTTCの検討が引き続き行われています。
また、WTTCを服用すると再発を予防できる効果も後年になり確認されております。
【中山医師の足跡とお人柄】
中山先生は当方の母(実母)から聞くに、外科医と同時に当時のヒーロー的存在でした。
若干37歳にて大学医学部の教授。
恰好良くてハンサムで、世界的にも知られる医師であったと言います。(国際外科学会)
小説「白い巨塔」の財前助教授みたいな方と彼女は申しておりましたが、その真偽のほどは定かではありませんが。
ただ、一つ言えることは、非常にきさくで、患者と積極的に対話を持ち、とても患者側からとても人気の有った先生と伺っております。
さて、中山恒明先生のことを敢て記述したのは、先生のご生家(北杜市白州町)のごく至近に私の祖母(やはり中山の姓:北杜市白州町)の生家が在りました。
よく私の母(旧姓は中山:北杜市武川町)からは、中山恒明先生がいかに頭脳明晰であったか、私も耳にタコができるほど聞かされておりました。
【中山恒明先生のご紹介】
1910年~2005年
中山 恒明先生は、日本の外科医、外科医学者。 食道外科で独自の手術法を確立したことで知られる。
1910年、山梨県北杜市白州町に医師の長男として誕生。当時幼少の頃より、学業成績が群を抜いていたという。
千葉大医学部卒。37歳にて千葉大学医学部第2外科教授。
国際外科学会の「世紀の外科医賞」を受賞。
東京女子医科大学客員教授。同大消化器病センター所長を歴任
中山癌研究所を創設。日本消化器外科学会会長
『サザエさん』の執筆者・長谷川町子氏の癌の執刀医でもある。
『白い巨塔』山崎豊子著の主人公・財前助教授は中山恒明教授がモデルとも言われている。
著書は多く有り、そのほとんどが外科学の医学専門書。
【民間療法薬WTTCと私との関わり】
私が薬大を卒業後、東京の病院に薬剤師として入職した翌年に、私の横浜の養母が腎細胞癌を発症しました。
この時に、当時はウチダ和漢薬からWTTCの素材(生薬)を取り寄せ、4種の薬草を一定の比率で混合し、養母に毎日服用させた記憶があります。
西洋医学による早期治療と私の民間療法とがうまくマッチしたようで、その後、彼女は医師が驚くほど早く回復し、平素の家庭生活に復帰しております。
当時の私も、本来は消化器癌を対象とした民間療法薬WTTCがなぜ難治である腎細胞癌に功を奏したのか、正直申して薬剤師的にも説明がつきませんでした。しかし、生前の山梨の母(その後渡米)から教示された中山先生のWTTCの情報は実に貴重であったと今ながら回顧しております。
私が病院勤務から独立しプロたん薬局を東京都あきる野市に開設いたしました。
ところが、前述の養母の癌が今度は乳癌と言う形で再発し、私が以前勤務していた病院に収容。摘出術を受けたことがありました。父の介護とタブリましたが、手作りのWTTCを彼女に飲ませると非常に良く効いたものです。その後は、彼女は硬膜内出血、心筋梗塞、認知症と続いていくのですが、途中からWTTCの進化型である「コイクシン」を日々服用させたものです。その時には、既に介護状態「4」ということで、私の自宅で介護していました。この話は話すと長くなりますので、また何かの機会がありましたら記述します。
プロたん保険調剤薬局から漢方専門店・薬のプロたんへ
漢方専門店・薬のプロたんにおけるWTTC
癌、腫瘍のご相談患者も多く、WTTCを随分とご紹介してきた経緯があります。
どうしても、「この煎じは、まずくて飲めない」というお客様が続出したのも事実です。
その原因は、どうも一成分である訶子(Terminalia chebula)にあったようです。
訶子(カシ)は極めて優秀な生薬で、タンニンの含有量が多く(20~40%)抗菌、抗ウイルス作用、さらに止血作用や抗炎症作用を有します。
元の由来はインドのアーユルヴェーダ医学に端を発します。
そのような次第で、民間療法WTTCは私の薬剤師生活のみならず、自身の家庭生活においても深い関わり持ったものと回顧している次第です。
【剤盛堂からコイクシンの発売】
剤盛堂薬品(和歌山県の大手漢方メーカー)から2007年の春であったと記憶しますが、WTTCを由来として新たに製造された「コイクシン」が新発売されました。藤コブ(フジコブ)・訶子(カシ)・菱の実(ヒシノミ)・よく苡仁(ヨクイニン)・沢瀉(タクシャ)のエキスからなる医薬品です。(第2類医薬品)
これは煎じ薬としてではなく、患者がタイムリーに飲みやすい濃厚なエキス散剤として完成いたしました。
お客様はとても服用しやすいとして、大変に喜ばれました。なお、取得した効能・効果は「 いぼとり、利尿 」という形で、現在当店において販売しております。【第2類医薬品】
■コイクシン(WTTC製剤)60包
税込12,528 円
■コイクシン(WTTC製剤)500gボトル
税込 60,480円

