「中寒」の方剤について、プロたん私見。当帰四逆加呉茱萸生姜湯
日増しに気温が下がって参りました。
今日は「中寒の方剤」というテーマで進めます。
寒冷刺激(寒邪)のために発病した疾病を「中寒」と言います。
体の冷えが中ぐらいという意味ではなく、外部からの寒邪(かんじゃ)に中(あた)ることです。
毒にあたるという意味に近いのです。
これはさらに「臓腑の中寒」と「経絡の中寒」とに分かれます。
【中寒の冷えに対する方剤】
●「臓腑の中寒」
外邪冷気に中(あた)って起こってくる冷えで、内部寒証により腹痛や下痢をきたすことが多いです。
過日のメルマでもお話した「冷え腹」の証です。
用いるのは人参湯(理中丸)が繁用中の繁用と言えましょう。実は私も確実に「理中丸」の証です。
●「経絡の中寒」ここがポイントです。
やはり外邪(寒邪)により、皮膚、筋肉が痺れ、痛みを発することが多い。
冷気だけで具合が悪くなってしまう方は、現代の暖房設備の進化でとても少なくなったと
言われています。果たしてそうでしょうか?
全国の専業主婦をはじめ職業的に保冷設備の中で働いている方々。具体的には、スーパー生鮮部門の従業員さん、レストランの調理師さん、外仕事では農業、漁業を手伝っている奥様方。
「経絡の中寒」は職業病的な要素をもって後年になり具体化してきます。
つまり寒邪が体の外側に沿って中(あた)った状態となります。
顔を起点として耳後方から首筋へ、肩甲骨へかけての隙間(背骨)を伝わり、さらに肩口から二の腕の経絡へ。
これが、60を超えた頃から、気温の高い昼間でも背中ゾクゾクし、背部痛、腰痛。さらに両腕も神経炎症状。そして顕著な例では三叉神経痛や顔面麻痺も。
参考リンク:会員様

過去はこれらが併発するケースとして決して多くはありませんが、冷え体質のご相談の中で、何人かは該当します。
最近の傾向では昼夜交代で働いている介護士の方々や、家庭内で長年身内の介護されている主婦の方々も「経絡の中寒」タイプが多いです。
私も正味12年近く親の家庭介護に関わりましたが、申すまでもなく、昼夜問わずで、運動不足にも陥り、冬は特に体が冷えますね。。水仕事が多く、ゴム手袋をしていても『しもやけ』ができたこと憶えています。
【中寒への漢方攻略は極めて難題】
私が漢方薬局のオヤジしているのに、鍼灸や温泉療法をも推挙する理由がそこにあります。特に「経絡の中寒」を攻略するには、一筋縄ではいきません。
東洋医学をトータル的に駆使した治療をすべきと考えています。
薬剤師的には「中寒」に用いる方剤として「甘草乾姜散(かんぞうかんきょうさん)(杉原散剤)」が著名ですが、
「経絡の中寒」には、
★「五積散(ごしゃくさん)」又は
★「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」
という方剤を仮に挙げ、それを念頭に入れて患者さんの証の確認に入り、方剤の選択に移ります。
【私が女性に当帰四逆加呉茱萸生姜湯を推奨する理由】
本来は虚弱体質ではあるが、若い頃から多少無理されても頑張られてきた年配女性。
中高年あたりから経絡の中寒により、平素から背部に悪寒(ゾクゾク)を自覚し、腰痛や神経痛などで悩まれている方には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を推挙しています。
いわゆる血虚でかつ、常に風邪ひき症状に似た病態を背負っている方。従って、血脈がスムーズではなく、当帰四逆湯と呉茱萸湯を合方した形で表裏の寒に用います。
あなたの周囲にいませんか?現在60前後で、さあこれからだ・・と言っても、なかなか思うように活動できない女性の方々。
ぜひ当方剤、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」を一度お試しください。
適証であれば抜群に効果を挙げます。
以前は、煎じ薬(刻み)を当店で用いましたが、ただ一つ難点が。
呉茱萸(ごしゅゆ)が何とも言えない不味さで、続けるのはなかなか厳しい。
ですので、近年に至ってはエキス剤も進化し、ずっと内容も濃くなったという理由から、私は皆様には漢方エキス剤をお勧めしています。
【当帰四逆加呉茱萸生姜湯の製剤について】
(小太郎漢方製薬)
■当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス細粒G「コタロー」90包(30日分)
税込9,072円
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【錠剤】1回に6錠、1日3回食間
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