『乙字湯』の変方とも言える『ヘモゼット(剤盛堂)』の構成生薬について
いつも有難うございます。
昨日掲載しました『ヘモゼット(剤盛堂)』に関して、お問い合わせを何件か頂いております。

剤盛堂「へモゼット」は、エキス散+原末で仕立てた散剤であり、添加物は一切含有していません。
【効能・効果】
脱肛、裂肛痔(きれ痔)、外痔核(いぼ痔)、内痔核(はしり痔)
その構成生薬(12味)について述べてみます。
※乙字湯に用いられている構成生薬(6味)
●当帰
セリ科のトウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたもの
精油、脂肪酸、クマリン類、ポリアセチレン化合物、その他
血の働きを調和し、排膿や止血に働き、身体のうるおいを保ち、婦人の産後、ふる血の下らないもの、などを治す
当帰芍薬散、紫雲膏、七物降下湯、当帰飲子(トウキインシ)など
●柴胡(さいこ)
セリ科のミシマサイコの根
サポニン、ステロール、脂肪酸など
主として心窩部より季肋部にかけて膨満感を訴え、抵抗・圧痛の認められる症状を治す
柴朴湯、柴苓湯、小柴胡湯など
●黄ごん(おうごん)
シソ科のコガネバナの周皮を除いた根
フラボノイド、ステロール、糖類など
主としてみぞおちの辺りのつかえを治す。また、心窩部より季肋部にかけて膨満感、嘔吐、下痢も治す。
●甘草(かんぞう)
マメ科のウラルカンゾウ又はスペインカンゾウの根及びストロン、ときには周皮を除いたもの
サポニン、フラボノイドなど
主として急迫症状を治す。したがって、腹部の拘攣、疼痛などの急迫症状を治す
葛根湯 、甘麦大棗湯、芍薬甘草湯など
●升麻(しょうま)
キンポウゲ科のサラシナショウマの根茎
トリテルペノイド、 ステロイド、その他
寒、熱、風(外邪)によるさまざまなできもの、のどの痛み、口内炎、痘瘡など皮膚の化膿性疾患を治す
●大黄(だいおう)
タデ科のダイオウ属植物の根および根茎を乾燥したもの
アントラキノン類、 タンニンなど
主として停滞している病毒を下す。したがって、胸腹部の膨満、腹痛、便秘、小便の出が悪いものを治す
大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、桃核承気湯など
※以上、乙字湯の構成生薬に、さらに以下の6味を加えたものが『ヘモゼット』です。
■紅花(こうか)
キク科のベニバナの管状花をそのまま又は黄色色素の大部分を除き、圧搾して板状としたもの
色素、フラボノイド、その他(脂肪油、リギナンなど)
血液のうっ滞を除き、気血のうっ滞による痛みを治す。
通導散、治頭瘡一方など
■陳皮(ちんぴ)
ミカン科のウンシュウミカン又はの成熟した果皮
精油、フラボノイド、その他(ペクチン、クエン酸など)
芳香性健胃、駆風(くふう)、鎮吐(ちんと)、鎮咳(ちんがい)作用など
釣藤散、半夏白朮天麻湯、茯苓飲など
■桃仁(とうにん)
バラ科のモモ、又はノモモの種子
青酸配糖体、酵素、その他(可溶性蛋白質など)
主として、血液の停滞、下腹部の膨満して痛むものを治す
桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯、桃核承気湯など
■牡丹皮(ぼたんぴ)
ボタン科のボタンの根皮
モノテルペン配糖体、フェノール類、その他(タンニン類など)
硬く固まった瘀血を除き、化膿性腫物を治し、月経を通じ、打撲損傷を消退させ、腰痛を治し、煩わしい熱感を除く
桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯、八味地黄丸など
■黄柏(おうばく)
ミカン科のキハダ又はの周皮を除いた樹皮
アルカロイド、苦味、成分、ステロイド
殺虫作用。胃腸の炎症性病変、熱感を伴う下痢、有熱性の疾患による目の熱感、充血を伴う痛みを治す
黄連解毒湯、七物降下湯、荊芥連翹湯など
■蒼朮(そうじゅつ)
キク科のホソバオケラ又はシナオケラの根茎
精油
主として水分の代謝異常を治す。利尿・解熱・健胃薬など
越婢加朮湯、桂枝加朮附湯など
以上、12種類の生薬で構成される『ヘモゼット(剤盛堂)』。
乙字湯をベースにしてさらに鬱血の除去と清熱効果を期待しての加味方で強化した生薬製剤と言えましょう。
主治としては痔疾全般、脱肛痛、下血腸風、前陰痒痛が挙げられます。
