八味丸(はちみがん)、六味丸(ろくみがん)との違いがよくわらない。。
よくお問い合わせメールを頂くものに、「八味丸(はちみがん)、六味丸(ろくみがん)との違いがよくわらないのですが。。」というご質問が多いと思いました。
【八味丸(はちみがん)】
八味丸(八味地黄丸)は8つの生薬からできています。八味丸の8つの生薬から体を温めて新陳代謝を促す附子(ぶし)と桂皮(けいひ)を除いたものが六味丸です。
ただ、8-2=6と単純な解釈ではなく、患者さんには極端な言い方、用い方として「全く別物として用いて欲しい」とよくお話しをいたします。
八味丸が腎陽虚。六味丸が腎陰虚に適しています。
八味丸(はちみがん)は、または八味地黄丸(はちみじおうがん)、腎気丸(じんきがん)、八味腎気丸(はちみじんきがん)とも呼ばれ、出典は医書「金匱要略」です。
男女ともに用いられ、腎(生殖器をも含む)の機能の衰えを目標とします。
主に下半身の疲労脱力、多尿、頻尿、尿利減少、腰痛、手足の煩熱または厥冷、口渇などを目標とします。
応用としては膀胱炎、前立腺肥大、腎炎、高血圧症、糖尿病、陰萎などに多科応用できる極めて優秀な漢方処方と言えましょう。
●詳細は特集記事 「前立腺肥大症と漢方」をご覧ください。
【当店における八味丸の漢方製剤一覧】
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【八味丸の漢方エビデンス】
八味丸(はちみがん)は近年では、臨床上(漢方エビデンス)において認知症、腰部脊柱管狭窄症などにも用いられ、
機能的な回復は未だ認められないものの、周辺症状又は自覚症状に有効である旨の報告もあります。
◎八味地黄丸の腰部脊柱管狭窄症に対する有効性と安全性 – 日本東洋医学会
◎認知症に対する八味地黄丸の有効性 – 日本東洋医学会
【六味丸(ろくみがん)】
さて、この八味丸の構成生薬のうち、附子(ぶし)と桂皮(けいひ)は、双方ともに大熱(温める力が強い)の性質を有します。
前述のように、この二つの生薬を除したものが六味丸です。
六味丸は腎陰が不足した状況に用います。
つまり陰(体液)の不足をきたし、体内の水分が抜け虚熱を持ち、頭や手足の裏に熱を有します。(手足煩熱)
主に「六味丸」は体がほてる、のぼせるなどの証のある方に使用します。
従って、六味丸証の方が、長期間、八味丸を服用すると顔の火照り(いわゆる赤ほてり)が出現し、頭重感などかえって逆効果となることがありますので、この点はご注意です。
●詳細は特集記事 「六味丸(ろくみがん)の用い方 」をご覧ください。
八味丸(八味地黄丸)や六味丸は著名な漢方ゆえ、各漢方メーカーがこぞって発売をしています。
近年では、大手のドラッグストア等でセルフ的にお求めになられる事例も多いと感じております。
購入事前に漢方が詳しい医師、薬剤師、登録販売者にぜひ一度、ご相談頂きたいと思います。
なお、八味丸、六味丸と話しを進めましたので、ついでに牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)のご説明を簡単にしておきましょう。
【牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)】
「牛車腎気丸」は、医書「済生方(さいせいほう)」に記載されている漢方です。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は「八味丸」に牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)という生薬を加えることで、痛みや利尿促進に働くため、この症状の強い方に適応されます。
つまり、尿量減少があり、疲れやすくて四肢が冷えやすい人の腰痛、下肢痛、むくみ、しびれ、排尿困難、頻尿、かゆみ、老人のかすみ目等に効果があります。(温補腎陽・利水)
証としては虚証、腎虚、寒証、湿証、臍下不仁が掲げられます。
◎適応症をご覧になると、私のような高齢の人だけに「向き」の漢方と思われるでしょうが、そうでもありません。
◎実際にお若いユーザーもかなり多くいらっしゃいます。
◎体力が低下し、顔色もすぐれず、冷えなどを伴う時には、あらためて証を確認後にご紹介するようにしています。
◎漢方用語で「臍下不仁(さいかふじん又はせいかふじん)」という状態、ヘソから下の下腹部が柔らかく、張りが無く変に頼りない感じ・・・も使用目安の一つです。
◎具体的には、足腰の冷えや痛み、しびれ、夜間頻尿、多尿、尿量減少、むくみ、かすみ目、皮膚のかゆみなど。。
◎又はそのような周辺症状をともなう前立腺肥大症や糖尿病にも応用がききます。
◎臨床上では糖尿病性末梢神経障害にも応用
糖尿病独特の末端のしびれに良いとして以前からB12製剤が使用されてきた。(例.メチコバール等。)
最近ではこの牛車腎気丸(医療用漢方製剤)の使用例が非常に多いと私は感じてます。。
●詳細は特集記事「原末・牛車腎気丸がウチダ和漢薬から新発売!」をご覧ください。