難治で不愉快な飛蚊症(ひぶんしょう)でお困りの方に。目の漢方。
いつもアクセスを有難うございます。
近年になり「飛蚊症(ひぶんしょう)」で地元の眼科(病院)へ通院しているが、何か良い漢方薬がないか?というお問い合わせが多いです。
実は、背景に病理学的な疾病の存在(例えば網膜剥離など)を除き、生理的な飛蚊症の場合は基本的には経過観察となり、病院では特にオペ治療はいたしません。
概ね40代前半から50代、60代と続きます。
【飛蚊症(ひぶんしょう)とは?】
視界内に小さな薄い影(糸くずや蚊のようにも見える)のようなものが現れる現象です。
これは、決して気のせいではなくて、網膜上では特定の位置に影は実際に存在しています。
眼球の運動により、いろいろなパターンというか、個別に差異はあると思いますが、例えば→ UUUUU→ こんな感じで。。
上の写真のイメージをご参考ください。(あくまでもイメージ)
この影は相対的に動き回っているように当人には感じられ、実に不愉快極まりない状態ですね。
【飛蚊症(ひぶんしょう)の主な要因】
目の硝子体(しょうしたい)内の混濁が網膜上に影を落とすことで発生します。
その混濁の原因は、
1.生理的飛蚊症(病的ではないもので生来からのもの)
2.後部硝子体剥離(病的ではないもので加齢・強度近視・打撲など)
3.その他(網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎など)
事例としては近年は圧倒的に加齢や、長時間のOA業務による眼の酷使。
さらに交通事故を始めとする衝突、落下の怪我(外傷)などによる後部硝子体剥離が多いです。
ただ、網膜剥離に至らないケースであれば、経過観察として、基本的にはオペはしないようです。
※生活改善により、次第に飛蚊症が消えることもあります。
※今話題となっているレーザーによる治療も将来的に網膜剥離の恐れがある場合のみ実施するということで、飛蚊症だけではほとんど実施しない眼科が多いと思います。
【加齢に伴う飛蚊症】
※加齢と言っても、近年では働き盛りの40代~50代が非常に多いです。
継続するようでしたら、まずは最寄の眼科で検査を受けてください。
◎私の長年の経験から、前述したOA業務や、強度なストレスがこの症状を加速しているものと考えています。
今の仕事を辞めるわけにもいきませんし、辛いところですね。。
※若年性、つまり20代~30代のケースでは、特に精査を必要としますので、至急、病院の専門医師にご相談ください。
【飛蚊症と漢方】
以上を前提として、漢方相談をお受けしております。つまり器質的な病変、緊急の外科的治療など要しない場合です。
漢方は経験的に硝子体の混濁によるものなどの飛蚊症には良好な結果をもたらすことが多いと思います。
以下、4つの漢方をご紹介いたします。
個別の証により、処方内容も当然変わりますので、当処方には限局はされません。詳細は、当店薬剤師まで直接ご相談ください。
■洗肝明目湯 (せんかんめいもくとう)【この事例は近年、当店では非常に多いです】
◎頭部の熱証による目の充血・腫れ・疼痛を目標に、目の急性炎症から慢性化した目の乾燥に至るまで用いることができる漢方の飲む目薬と言えます。
◎『万病回春』眼目篇に、本方は「一切の風熱、赤腫、疼痛するを治す」とあります。
一般には、熱によって目に炎症が生じ、赤く腫れて痛む場合によいとされます。
◎飛蚊症対応として、当店では今まで杞菊地黄丸 (こぎくじおうがん)を筆頭に実店舗の漢方相談をお受けして参りましたが、近年になり洗肝明目湯 (せんかんめいもくとう)のエキス剤が発売されました。
洗肝明目湯には杞菊地黄丸に含まれる菊花をはじめ合計19味もの生薬が配合されております。
◎現在では難治な飛蚊症の場合、当店では非常に改善例の多い洗肝明目湯 (せんかんめいもくとう)を第一選択としております。
ポイントとしては、「証(しょう)」として患者の体力が中等度であること、飛蚊症をはじめ眼精疲労が強く、充血、鈍痛、乾燥感などを伴うケースに用います。
さらに難治なケースには、牛黄製剤や他処方との併用事例もあります。
詳細については以下サイトをご参考ください。
■杞菊地黄丸 (こぎくじおうがん)
◎特に加齢による飛蚊症や老眼、さらに老人性白内障のケースにはとても良い漢方薬と言えます。
◎補肝腎作用があり、老化、慢性消耗性疾患に使用する六味丸に目の不調に用いる菊花と枸杞子の2種類の生薬を加えたもの。
◎臨床的には多発性神経炎、骨粗鬆症、腎障害、老人性白内障、飛蚊症、シェーグレン症候群などに幅広く応用されています。
■滋腎明目湯 (じじんめいもくとう)
◎腎を滋養しその働きを高め、目の前が明るくハッキリと物が見えるようになる処方です。
◎眼底(網膜)は漢方的には腎に属するので、滋腎明目湯は眼底出血、網膜症などにも広く応用できます。
◎当店ではこの処方を飛蚊症の方にも証が合えばご紹介するようにしています。
■牛黄(ごおう)製剤と感覚器への効果について
牛黄(ごおう)につきましては、もう既に多くの方がご存知ですので、多くの説明は要しません。
既に牛黄に関する「専門サイト」を開設していますが、その中で今回、新しいコンテンツとして、「2. ゴオウ(牛黄)の歴史と現代薬理学の報告」を設けております。
◎その項目に、開きょう薬(かいきょうやく)としての説明があります。
「閉じているあな孔を開く」ことを本来の意味とし、閉証(病邪の勢いが強いために生じた意識障害などを指す)を治す薬をさします。
このことから、私見ですが前述した加齢+眼へのストレスや過労から長じた感覚器の障害へも何らかの好転する薬理が存在すると考えております。