人気のサンワロンシリーズと附子(ブシ)に関する解説
三和生薬の特別バージョンとして、サンワロン製剤シリーズがありますが、ご存知でしょうか?
トリカブトは猛毒の薬草ですが、それを滅毒処理をして加工し、医薬品の単体又は一部の成分として漢方薬に配合いたします。
当然ではありますが、厳しい工場管理のもとで加工いたしますので、その基準に対応できる設備投資を必要とします。従って、これの認可を受けている製薬会社は我が国においてはそう多くはありません。
その企業の大手の一つが、三和生薬です。
【サンワロンシリーズとは?】
サンワロンシリーズは三和生薬の加工附子末含有の製剤です。一般用医薬品の市場において、全国的にファンは多く固定的な人気を有しています。また医療用医薬品としても用いられております。
三和生薬の附子へのこだわりは業界においても著名であり、附子及び附子配合剤による血流促進、鎮痛作用など、多くの症例に用いられ、『よく効かせる漢方』として君臨しています。処方内容にもよりますが、どちらかというと、短期投薬のケースが多いと思います。但し、八味地黄丸は長期使用ということで、患者さんのあくまでも『証』にもよります。
【附子の成分は?】
附子にはアコニチン、メサコニチン、ヒパコニチン、ジェサコニチン等の強毒性のアルカロイドと
atisineに代表される(atisine,napelline,songorine,ignavine,hypoganvine,kobusine等の低毒性のものと、
hygenamine,coryneine等の微量の強心性物質が含まれています。
※アコニチンの名前は、トリカブトを表す古代ギリシャ語「アコニトン」に由来するとも、さらに、地中海の風光明媚な島で多くのトリカブトが自生していたと言うクレタ島の丘の名「アコナイの丘」からきているとも言われています。
【よくあるご質問。ブシ1、ブシ2、ブシ3・・とは?】
附子は日本薬局方にブシ、加工ブシとして収載され ハナトリカブト又はオクトリカブトの塊根を1、2又は3の加工法により製したものである。とされています。
1、2又は3の加工法とは?
1:高圧蒸気処理により加工する
2:食塩、岩塩又は塩化カルシウムの水溶液に浸せきした後、加熱又は高圧蒸気処理により加工する。
3:食塩の水溶液に浸せきした後、水酸化カルシウムを塗布することにより加工する。
とされています。
各々加工法によりブシ1、ブシ2、ブシ3としています。
又、局方ではブシ1とブシ2を粉末としたものを各々ブシ末1、ブシ末2としています。
【名称と使用部位、加工の有無】
キンポウゲ科トリカブ属植物は地中海沿岸、ヨーロッパ、ロシア、ヒマラヤ、中国、日本など北半球の亜熱帯~温帯にかけて広く分布しており、300を超える種類があります。
附子の名称は修治法による名称と部位、産地等による名称があり、非常に複雑です。
修治による名称にはつぎのような名称があります。
附子と烏頭、天雄:附子は子根、烏頭は母根となっている文献もありますが一般的に減毒していないものを烏頭、減毒しているもの附子という場合が多いと思われます。
附子はトリカブトの塊根で子根が成長した後冬に最終したもの、烏頭はトリカブトが成長する前、春に採集したもの、天雄はトリカブトの塊根で細長く子根を有していないものという文献もあります。
【産地】
日本では群馬県、北海道などでオクトリカブト、カラトリカブトが栽培され様々な減毒加工をして、製剤原料、生薬附子として流通しています。