診察室高血圧と仮面高血圧の話題について
なんとも蒸し暑い、不快指数の多い日々。
皆様、いかがお過ごしですか。。
さすがに、私も今日は「牛黄カプセル」を2回服用しました。
【血圧と血圧測定の話】
本日は、血圧の話です。
血圧測定は、どなたでもご存じの通り、健康診断における基本中の基本ともいえ、近年では精度の高い「自動血圧計」が、割と安価でご家庭で購入できる時代となりました。
購入された時には、ご家族そろってお茶の間で測定したり、ご家庭内における「健康管理」の一助として血圧計の大切さはご理解できていると思います。
しかしながら、頻繁に測定を開始したものの、次第に計測を忘れたり、ややもすると電池が切れていたりして、忘れがちになるのがご家庭における家族の血圧管理と言ってもよいでしょう。現在ご家庭においては、概ね血圧計の1台の血圧計はあるかと存じます。大手家電や、ホームセンターにて「特売」をしており、お求めやすい時代になりました。
当店は漢方専門店であるがゆえ、血圧計は置いてはおりますが、ご相談客様に使用するだけで、販売はもちろんしておりません。万が一、医師からの診療において、ご家庭における血圧管理の指示やそのデーター提出など求められた場合、現在の家にある血圧計を使用する形となりますが、万が一、買い替える場合は以下のことにご留意ください。あくまでも私の経験論からお話しいたします。
【血圧計の選択肢】
① できたら電池式のみではなく、ACアダブターも付けて拡張できる機器にされると良いと思います。肝心な時に電池切れですと、興ざめしますし、ACアダプター付きの方が長期的にみて経済的ですし、便利です。(ほとんどの機種が別売りですが、最初にセット購入しておきましょう。)
② 医師より血圧表(手帳など)記載依頼がある場合があります。というか、高血圧症の診断を下された患者様は言われずとも日々の測定とデーター記入等は常識化しつつあります。(強制こそはされませんが、変な言い方、義務化に近いと思います。)
③ いろいろな機種が出ており、価格だけを追い求めず、使用されるご家族の人数や、機器の大きさなど、又は上腕帯の巻き付け型か手首型にされるか、じっくりと検討いたしましょう。また最近急速に流行ってきたIPHONEアプリとの連携の件ですが、未だアプリを利用するにあたっての接続がうまくいかないことが散見いたします。私の使用した限りでは、パソコンへのデーター流し込みはとても便利で、いちいち血圧表に書き込む手間は省けます。しかし、私が実施しているパソコンの印字データーでも提出できるのか、そうではなく、病院所定の血圧表に記載したものに限るのか、あらかじめ主治医に確認をされてから高機種の血圧計をお求めになられても遅くはないと思います。
④ 私が永年使用してきた限りでは、メーカーを問わず、正しい巻き方で上腕に巻くオーソドックスな機器の方が手首式よりも正確ではないかと考えています。手首式も最近では非常に進化してますが、総合的な販売量からみても上腕型の方が未だ多いという現実があります。
⑤ 高機種ほど、拡張性が高いと言われますが、故障や不具合も多く、やはりオーソドックスな機種、シンプルな仕様の製品が基本的には高齢者向けと考えます。
【えっ、血圧計を捨てたって?】
※予め掲載可否につき、ご承諾を頂きました。青梅市のY様。
過日、高血圧のご相談において、私とほぼ同年代の男性(独身)の方がおいでになられました。
市の特定検診を受診され、血圧が高いことを指摘されたとのことです。
本来、自分は血圧が低めである体質でやってきたため、「驚いた。」と言われておりました。
低めの数値とはいつ頃のことですか?と聞くと、「40代の頃。」との回答が。
今、65歳ですから、20年以上も経過していますよね?50代には血圧測定はされませんでしたか?
「いえ、家庭で測定はしていましたが、血圧計が古いためか不正確なんです。会社指定の病院では120で問題無しと言われました。」
なるほど。
当人いわく、「白衣高血圧ではないでしょうか?」と言われる。
よく、ご存知ですね。
「ええ、テレビの健康番組でやっていました。」
そうですか。よくわかりました。もう一度、ここで測定してみましょう・・・。
それでは私は白衣を脱ぎましょう。笑(当人も大笑い)
・・と、言って測定しましたところ・・なんと。初回は・・
「155/100mmHg」。
今までの経過とか、家族歴、既往症などの質問をしたりしながら20分後にもう一度計測。2回目は・・
「150/95mmHg」。
なるほど、医師から警告を受けるはずですね。これを見る限りでは確実に高血圧です。放置はできません。ただし、保険診療上、高血圧症と診断決定したわけではない。まずはその原因の究明と精査を必要とします。
高血圧症にも日本人には多いと言われる本態性高血圧や、他の疾病由来の二次性高血圧(心臓、腎臓、内分泌など由来)がある。
今後の当人の私生活(食生活を含めて)の改善を前提として、同時並行して病院での精密検査の結果、どのような形の高血圧症なのか、又は境界型高血圧症なのか?私がここで論じても意味は無い。と、お話しいたしました。
とにかくここで言えることは、現在の飲酒や喫煙、さらに好物である塩分の強い食事を改めるべきと強調。
それと、一番大切なことは、家庭における毎日、複数回での血圧測定・・自身の人生をしっかりと見つめて・・と、私がいつものように「熱弁」を開始した時に・・。「すみません、お話し途中なのですが、私、血圧計が今無いのです。。」
・・・「はぁ?なぜ?」「壊れていたため、捨てました。それに家内が10年前に他界していますので、買っても意味ないと思いまして。。」
・・・・・・
・・・・・・
「はぁ?」
・・・・・
どうも、話が進まんなぁ~。と、内心思いつつ、私を含めて、この団塊世代ちゅうのは難しいお方が多い。
当店では販売していないし、今からデジタル血圧計の精度の良いものをここ青梅市内で探すのは「こと(難儀)」でしょう。・・ということになり。 ここしばらくは、私の血圧計で良かったら新しいのを買うまで、貸しててあげるということになりかけたのですが・・・。
「それは申し訳ないので、いいです。」と言われる。う~ん。難しい。。
実を言うと、こちらへ来る前に3店ほどホームセンターに寄られたそうで、今度購入する時は少し高くても高機種のものが欲しかったそうです。
それを、早く言って欲しかったのです。。はい。
そうですか・・・それならば、ネット販売を一緒に探しましょう。。家ではパソコン無いとのこと。携帯は二世代前のガラケー。なるほど。ガラケーでもネット通販は利用できますが、サイト検索でショッピングは少々きつい。。私もひと肌脱ぎましょう。
こんな時には・・・。思い出しますね。。
昔、当店には真理ちゃんという優れスタッフがいて、話の展開を横で「常に同期」していてくれて、メモ用紙に価格と品番・機種まで書いてくれる。何気に私にそっと渡してくれた時代があった。おまけに、「ハートマーク」までサイン書いて、「真理」と付記し、「ヨッシャ~ッ」とやる気を起こしたものです。
彼女、25歳でお嫁に行っちゃったのですね・・・。まぁ~当然ですが。汗
関係の無い話で恐縮です。
それからそのお客様と二人してAmazon(アマゾン)の血圧計コーナーをくまなく検索し、ついでに価格コムや楽天も当店のスタッフに探させて・・。
ご本人様の予算と合う、高機種の血圧計がありました。
Amazon(アマゾン)のお急ぎ便で、明日午前中指定。バッチ、グーなのでした。
(当人には大変感謝されました。。いえいえ、なんのこれしき・・当然のことをしたまでです。)これで、明日からきっちりと血圧測定が可能となったわけで。
しかし、食事療法・禁酒・禁煙についてもう一度、熱弁を奮おうとしても、小生もタイミングが完全に「ブレ」てしまい、とりあえず、漢方薬は来月の検査結果次第ということで、お帰り頂きました。
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【診察室高血圧と仮面高血圧について】
●みなさん、病院で診断中に医師との対話の中で、「○○さん、血圧をちょっと測定させてください。」と言われたら、たとえ想定内としても、やはりドキドキしませんか?
●高血圧の方に限らず一般の人でも、病院や診療所で測ると家庭よりも高い数値が出ることが多いことがわかっています。
●家庭ではリラックスして測定できますが、病院や健診では緊張したりして、血圧値が上がってしまうのです。
●診察室で測定した血圧は「診察室血圧」いわゆる「白衣高血圧」と呼ばれ、家庭で測る「家庭血圧」に比べると、収縮期血圧で20~30mmHg、拡張期血圧で10mmHgも高くなる場合もあります。
●診察室血圧が140/90mmHg以上で高血圧、家庭血圧が135/85mmHg未満で高血圧でない場合、「白衣高血圧」と呼ばれます。
●この辺のことはよくご存じのことと思います。
ほとんどの方が、「ドクターの前ではあがってしまう」。。ところが・・
世の中、この反対の人がいるんですね。。
ドクターを前にして、やにわに看護師さんから腕帯を巻かれる。
この一連の動きの中で妙に落ち着いてしまって、むしろ血圧が下がる方がいるのです。とても信じられないですよね。
【仮面高血圧は高リスクが伴う】
実は私がそうなんです。図々しいのにも程があると・・いや、そうではなくて・・平素よりもリラックスしてしまう。苦笑
他ではできない、医療上の内輪話など交えての短時間診療ですが、私にとっては「ほっ」とするひと時とも言えますね。
これを「仮面高血圧」と言いまして、現在重症化するリスクも高く、臨床現場でも問題として浮上してきました。
あくまでも私見ですが・・
昭和を駆け足で、一直線にやってきた団塊世代に多いのではないでしょうか。
つまり現在64歳~68歳ぐらいの方々、気を付けましょう。当店にも多くいらっしゃいます。くたくたボロボロで、「もうあとは矢でも鉄砲でも持って来い。」と開き直り世代。
医師や注射器を前にしても微動だにしない「さ、どうぞ」。
医師が計測して「ほ~、なかなか良い数値ですね。はい、いいでしょう」
当人は、静かに「先生、有難うございます。」・・・という一見して平和な診察室風景。
ところが、ここに落とし穴が。。・・家庭で計測するとゆうに150/100mmHg以上を突破している。
当人は、この血圧計壊れていて不正確だぞ!とたいした理由も無く妻を叱り、『医師から褒められた』からまぁ良いだろうと、そのまま放置。
つまり、家庭では血圧計なんか不要・・と決め込む。
表現は悪いですが、「家庭では悪い子」、「病院の先生の前では良い子」。
内面(うちづら)悪く、外面(そとづら)良い。。人。
まぁ、これが逆でも困りますが・・・。
これが極論すれば動脈硬化症の進行や心臓疾患、強いては将来への脳卒中へと連携しないとも言えない。特に年配の男性に多いのです。
そういう私も過去は内面(うちづら)も外面(そとづら)も暴君と言われてきましたので、人のことはとても言えませんが・・。
あなたの周囲にこのような「お父さん」いませんか?
【血圧の数値は毎日測定が原則】
以上述べてきた症例も近年多く、「仮面高血圧」の症例も踏まえて、「高血圧ガイドライン」が何度か、塗り替えられました。
基本的には、人間50を過ぎたら、1日に複数回(例えば朝・夜)の計測は健康のバロメーターとお考えになった方が良いかもしれません。
何かの検診をきっかけに、医師から忠告されて初めて日々の計測を渋々開始するよりも、平素から積極的に自身のデーターと向き合うことは当人のためにも良いことであると思います。
【私の計測方法】あくまでもご参考に
私の過去の苦い体験から、遅ればせながら朝出勤すると職場でまずは1回。
次に帰宅して、夜間もう1回測定します。(合計2回)
そのデーターを忘れないうちにエクセルに入力し、次回の診療時に直近の「参考データー」としてカラープリントアウトして、主治医に提出します。
(エクセルって便利ですね。縦計算、横計算、平均値。あっという間。。当然ですが。。)
現在では、直接自分のパソコンにデーターを流し込みできる血圧計を購入しているのですが、途中から自分の記憶のためにも、敢えて入力作業を実行し、傾向値というものを肌で感じています。何年間かの推移を見てみると、血圧のデーターって、四季の変わり目に実に大きな変化が有りますね。ああ、そういえばこの時には随分と疲れていたな。。とか、ここは風邪を引いていたとか。年間の仕事の繁忙状況や、私的なストレスなどよく見えてきますね。苦笑
最近、私の細かいデーター付けにつき、単なる自己満足だけではなく、このままでは「木を見て森を見ず」になるなと考えています。これを日々の患者さんとの対話の中で、どのように生かしていくかを考えるのが薬剤師的な姿かも知れません。漢方薬の効果的な用い方、微調整など一つの症例として、ビフォー・アフターもデーターとして解析しなければなりません。私は現在(一昨年から)ウチダ和漢薬の丸剤で桂枝茯苓丸の分包品を愛用しています。
以前は分包品は存在せず、バラの500gでしたが、私としては分包品は実に重宝しています。確か夏が終わり9月の下旬から毎日3回服用しており、何と翌年の1月には、私の血圧はかなり上昇するのですが、驚くほど安定化し、数値も下がっておりました。自宅で測定しても確実に下がっておりましたので、「仮面高血圧」の傾向があったとしても確実に漢方薬が効いていたと思います。元来、私は「瘀血(おけつ)」体質ですので極めて顕著にデーターに現れたと考えています。
いつか、私自身の年間血圧データー5年分を折れ線グラフや、棒グラフにし、パワーポイントファイルにして、主治医に渡したらひどく驚いてました。。もう、こうなるとマニアというか、当方のスタッフらからは「ビョーキ」と言われるのも無理からぬようで。
・・というのも、爺さん薬剤師である私のデーター構築も健康管理の一つなんですね。
【境界型高血圧でお悩みの方へ】
境界型高血圧で、医師から警告を受けられている患者様。特に病院の薬の投薬は受けていない患者様。
ご自分の血圧を漢方療法で少しずつ改善したいとご希望のお客様へ、以下漢方療法を推奨しています。
個々の体質などにより処方は違います。また、前述した私のように瘀血(おけつ)体質の人は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が奏功し、結果血圧が下がって安定化したという事例は多くあります。
以下の繁用される漢方薬の単独使用又は併用とか個々の現在の「証」によりアドバイスさせて頂いてます。
お電話では「証」の見極めは不可能です。お近くにお住まいで、ご希望の方は、直接ご来店ください。
「薬のプロたん」198-0052 東京都青梅市長淵5-543電話 0428-25-8682
ぜひご相談ください。
●釣藤散(ちょうとうさん)
●環元清血飲(かんげんせいけついん)
●生薬製剤二号方(しょうやくせいざいにごうほう)
●七物降下湯(しちもつこうかとう)
※上記製剤の中で、環元清血飲(小太郎漢方)と生薬製剤二号方(ウチダ和漢薬)の両方ともに丹参(たんじん)を主薬とした漢方製剤です。
これらは血行改善、血管強化、抗血栓等に応用できる優れた製剤であり、血圧が高めの方には推奨です。