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熊胆(ゆうたん)の話

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熊胆(ゆうたん)の話

本日は熊胆の話です。

【熊胆(ゆうたん)とは?】

生薬である熊(くま)と胆嚢の胆(たん)と書いて「くまたん」ではなく、『ゆうたん』と言います。

その基源としては、ヒグマもしくはその近縁動物(クマ科)の胆汁を乾燥したものをさします。通常その原薬は胆嚢にはいった形で出回っています。

 

熊胆『ゆうたん』は俗称として「くまのい」と呼ばれ、家庭薬原料の高貴薬であり、非常に高額、希少な生薬として著名です。
その点、現在日本のメーカー在庫が枯渇し、異常な高値として高騰を続けている牛黄(ごおう)と似てますね。
もっとも牛黄(ごおう)薬理作用が全くの別物ですですので、比較にはなりませんが、いずれにしても希少素材には違いありません。

熊の薬用については『神農本草経』の上品に「熊脂」の記載が最初と言われています。
「熊胆」の記載は唐代の『新修本草』が最初であり、中国では古来伝染性の熱病による黄疸、暑期の長期にわたる下痢などの治療に用いられてきたそうです。
中医学においては「清熱薬」に分類されています。

 

【熊胆成分であるウルソデオキシコール酸の起源】

ウルソデオキシコール酸の起源は、千数百年の歴史を持つ「熊胆」にあると言われています。
古代、ギリシャからインドにかけての地域周辺では、動物の胆のうからできた薬が使用されていました。

なかでも、ツキノワグマやヒグマの胆のうを乾燥させて作った動物性生薬「熊の胆」は、消化器系全般の万能薬として位置づけられていました。
そして、シルクロードを渡って中国へ運ばれ、「熊胆(ゆうたん)」と呼ばれるようになりました。

【日本に渡来した熊胆の歴史】

熊胆が日本へ伝わったのは奈良時代であり、遣唐使によって中国から運ばれてきたと考えられています。
当初はとても貴重な薬で、聖武天皇に献上されていたとされる熊胆が、今でも正倉院に残っています。

庶民に広まったのは江戸時代になってからです。
医師・後藤艮山が「熊胆丸(ゆうたんがん)」という丸剤を作ったことがきっかけといわれています。

 

【漢方としての熊胆】

漢方における熊胆の主な薬効は、鎮痙、強心、解毒、健胃、胆汁分泌促進作用などが挙げられます。
漢方医学や東洋医学では、古来から、消化器系全般の万能薬として用いてきた歴史があり、現在でもクマから採れた天然の熊胆は、貴重な動物性生薬として珍重されています。
この熊胆の主成分が「ウルソデオキシコール酸」であり、現在も医療の現場において、幅広く活躍しています。

【乱獲、素材の減少、そして規制】

日本においては、ヒグマやニホンツキノワグマに由来する国産品が主に利用されてきました。
採集時期や食餌の違いなどから、熊胆の色が大きく異なることも知られています。

熊胆の鑑別に関し、良品の条件として純苦味があって雑味がないもの、漆黒色で光沢のあるものと言われています。
『図経本草』には「偽品が多く粟粒ほどを水中に投じると一筋の糸のようになり散らなければ真物である」と検査方法が述べられています。
現在でもこの方法はかなり有効の模様です。

熊胆はわが国では麝香(じゃこう)や牛黄(ごおう)と並ぶ動物生薬として、主に家庭薬原料として用いられてきた経緯があります。
しかし、熊胆は原動物を殺して採取していたことから動物愛護や資源保護の問題が取りざたされ、
麝香(じゃこう)と同様にワシントン条約に基づいて中国では1987年に国家重点保護野生薬材品目の二級に指定されています。

わが国では、有害獣として駆除される個体だけではとても需要をまかないきれない現状があります。近年は豚胆など他の動物胆で代用されることが多くなっているようです。
熊胆の特徴の一つとして、吸湿性がなく、粉末になって調剤しやすいと言うメリットがあります。

今後は薬効的なことをも考慮しまた調剤方法を検討するなどして、代用品の開発研究が進むことが望まれています。

【※参考資料】

・ウチダ和漢薬「生薬の玉手箱」より
・佐藤製薬「ウルソデオキシコール酸」文献より
・南山堂医学大辞典
・治療薬マニュアル(医学書院)

 

【当店で現在取り扱っている熊胆素材を用いた製剤】【第三類医薬品】

 

●保寿熊胆丸(ゆうたんがん)60丸 【第三類医薬品】

 

 

●ウチダの熊胆(ユウタン)5g桐箱入り(日本)【第三類医薬品】


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