桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と瘀血(おけつ)
【瘀血(おけつ)とは?】
漢方では、血行障害や鬱血を「瘀血(おけつ)」という概念でとらえ重視します。
女性の月経トラブルを含め、いわゆる「血の道症」には、この「瘀血」を改善する漢方薬がよく使われています。
これらを血の滞りをとるという意味で駆瘀血剤(くおけつざいと言います。)
その代表が桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。
出典は漢時代の古典書『金匱要略(きんきようりゃく)』
【桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の特徴】
●桂枝茯苓丸は血行を良好にし、熱のバランスを整えることで、のぼせや冷えを改善し、子宮などの炎症を鎮静化させる。
また、ホルモンのバランスを整える効果も期待できる。
●具体的には、月経不順、月経痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせ、足冷え等に適応します。
また、そのような諸症状をともなう更年期障害にも応用されることが多いのです。
●その他の応用としては、子宮内膜症、筋腫、吹き出物、シミ、しもやけ、痔、打ち身等にも用いられます。
●なお、本方に消炎・排膿・利水のよく苡仁(よくいにん)を加えた桂枝茯苓丸加よく苡仁(けいしぶくりょうかよくいにん)という方剤があります。
【構成生薬】5味
●桂枝茯苓丸の構成生薬は下記の5種類となります。
桂皮(けいひ)→ 製剤としては日局ケイヒを使用
芍薬(しゃくやく)
茯苓(ぶくりょう)
桃仁(とうにん)
牡丹皮(ぼたんぴ)
・・などが配合されています。
●桂皮(けいひ)
クスノキ科(Lauraceae)のCinnamomum cassia Blume の樹皮又は周皮の一部を除いたもの
主として体の下から上のほうへつき上げてくるような症状を治す。(薬徴)
●芍薬(しゃくやく)
ボタン科(Paeoniaceae)のシャクヤクPaeonia lactiflora Pallasの根
主として(筋肉が)硬くなってひきつれるものを治す。腹痛、頭痛なども治す。(薬徴)
●茯苓(ぶくりょう)
サルノコシカケ科(Polyporaceae)のマツホド Poria cocos Wolfの菌核で、通例、外層をほとんど除いたもの
主として動悸、筋肉がピクピクと痙攣するものを治す。また、小便が出にくいもの、めまいを治す。(薬徴)
●桃仁(とうにん)
バラ科(Rosaceae)のモモPrunus persi-ca Batsch又はPrunus persica Batsch var. davidiana Maximowiczの種子
主として、血液の停滞、下腹部の膨満して痛むものを治す。(薬徴)
●牡丹皮(ぼたんぴ)
ボタン科(Paeoniaceae)のボタンPaeonia suffruticosa Andrews (Paeonia moutan Sims)の根皮
硬く固まった瘀血を除き、化膿性腫物を治し、月経を通じ、打撲損傷を消退させ、腰痛を治し、煩わしい熱感を除く。(古方薬議)
【薬能・方意】
●桃仁・牡丹皮・・・駆瘀血作用
●桂皮・・・血管拡張作用(活血作用)
●茯苓・・・利尿作用、鎮静作用(動悸を鎮める)
●芍薬・・・鎮痙・鎮痛作用(消化管の攣縮による腹痛、躯幹の筋肉痛)
●牡丹皮・芍薬・・・傷陰※を伴った炎症を鎮める(清熱涼血薬)
※傷陰とは?
津液消耗(傷津)によるもの。
熱性病の後期にみられ、微熱・手足心熱・元気がない・やせる・口の乾燥・のどの痛み・難聴などを呈する。
【当店で取り扱いの桂枝茯苓丸の漢方製剤】
(丸剤)
●ウチダの丸剤 桂枝茯苓丸

●杉原商店の丸剤 桂皮茯苓丸

●健婦丸(栃本天海堂):桂枝茯苓丸

(原末+エキス)
●フッケツ散(桂枝茯苓丸)剤盛堂
(エキス細粒剤)
●桂枝茯苓丸エキス細粒G「コタロー」
●桂枝茯苓丸料Aエキス細粒 三和生薬

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(錠剤)
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●錠剤 桂枝茯苓丸(一元製薬)

(煎剤)
●ウチダの桂枝茯苓丸料