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こむら返りと漢方療法の一考察

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こむら返りと漢方療法の一考察

 


いつも有難うございます。

本日のテーマは、「こむら返り」。漢字で腓返りです。

変なご質問で恐縮ですが、最近寝ていて、こむら返りが気になりませんか?

 

【こむら返りとは?】

主に「ふくらはぎ」に起きる筋痙攣て、よく足が攣(つ)ると言われています。

腓腹筋痙攣が主体ですが、脇腹、指、頚肩腕なども類似した症状が発現することがあります。

稀ですが、上半身に同様の症状が出た場合、すわ「心筋梗塞」とか「狭心症」なのか?騒ぎになります。

繰り返されるようでしたら医療機関へ受診され、検査を受けてください。

特に病理学的、重篤な病変なければ、「こむら返り」として対応していきます。

【四季にかかわらず、意外と多いこむら返りのご相談】

定義としては、「筋肉の意識しない持続的な強直性収縮である筋の攣縮を示し、有痛性である。」

それも、かなりの激痛を伴うことが多いのです。

特に就寝時、早朝に起きやすく、あまりの痛さに声をあげる程で、隣で寝ている家族もびっくりしますね。

これが日々繰り返されると、睡眠不足に陥ることもあります。

こむら返りを生じている筋は硬く収縮しており、局所の筋が硬く膨隆しているのがわかります。

筋攣縮の持続は数秒から数分であることが多く、激痛が襲うものの、寝起きで早急に対処ができない為、起床後にふくらはぎの筋肉痛が残ることが多いのです。

【こむら返りの原因と対策】

●運動中または運動直後に発生する筋痙攣は良性として扱われます。

陸上競技や水泳等によく見られます。腓腹筋に過剰な負荷がかかった時。
また、運動不足の者がウォームアップ無しに走り込みをした時に頻発します。

日頃からのストレッチ運動やマッサージなどで対応できます。

●良性では無い筋痙攣は、何らかの薬剤の副作用、疾病や異常の症候として現れる事があります。

【現在使用中の薬剤に起因するケース】

薬剤性の症例については、稀ですが一部の降圧剤、利尿剤、脂質異常症改善剤(高脂血症用剤)などが挙げられますが、あくまでも処方されている主治医レベルの話ですので、ここでの詳細は控えます。

服用開始時期とこむら返り出現時期とが合致する場合、担当医師に早めにご相談ください。

また、近年にあってはごく稀ですがベンゾジアゼピン系薬剤(抗不安薬)やSSRIなどから離薬する時に反跳性の離脱症候群に見舞われる事例があります。

これも素人判断で勝手に断薬せずに必ず処方医とご相談すべきと考えています。

【日常の他疾病から起因するケース】

何らかの疾患の症候として「こむら返り」が現れている場合は、原因疾患の治療が行われます。

・糖尿病性末梢神経障害
・透析(慢性腎不全)
・熱中症
・アルコール依存症
・甲状腺機能低下症、その他

【本人の体質、生活環境から由来するケース】

青梅市は奥多摩町にかけて多摩川沿いの渓流釣りが盛ん。足が冷えますよ。

・立ち仕事
・冷え症(特に足冷え、血行障害など)
・喫煙者(ヘビースモーカー)
・筋力低下の高齢者(運動不足)
・その他

医師の診察でも特に病変がみられず、検査数値も異常がみられないケース。
この場合には、以下のように体質、加齢による筋肉老化、喫煙なども原因の一つとされます。

体質的には、男女ともに冷え体質の方が多く。末梢の血行障害が長じて特に安静時(就寝時)に筋肉がストライキを起こすような痙攣が頻発します。

日常のウォーキングが奏効しますが、運動が過剰になっても筋肉疲労となり「こむら返り」を起こすシニアの方々もいます。自分なりの運動量も検討してみましょう。

いずれにしても、共通して言えることは「運動不足」の一語に尽きます。

喫煙(ニコチン)は末梢動脈・静脈の両方にアタックし、循環不全をきたします。
当然ながら、平滑筋へ多大な影響をきたします。

申すまでもなく、いつかは完全なる禁煙実施を念頭に入れて節煙からアプローチに入りましょう。
50代で喫煙されている方は、定年退職が一つの分岐点というか、きっかけです。

【こむら返りに対応しての漢方療法】

冷え体質そのものの改善は、一朝一夕にはいかず内部から温めてくれる漢方薬を推挙いたします。
漢方薬の服用にあたっては、個別の証により処方は変更されます。

当店においては、当帰芍薬散又は当帰四逆加呉茱萸生姜湯のどちらかを選択し、ご紹介するケースが多いと思います。

特に、当サイトの「中寒の方剤」の項で述べている当帰四逆加呉茱萸生姜湯の投与で多くの方が改善しています。

●当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

「中寒」の方剤について、プロたん私見。当帰四逆加呉茱萸生姜湯。

また、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は医療用漢方製剤が病院で処方されていますが、これはあくまでも対症療法的に用いる形です。

とてもよく効き、患者様から人気あるようです。
但し、長期連用は成分の甘草による副作用の問題(低カリ、偽アルドステロン症)などがあり、私が言う筋ではありませんが、あくまでも臨時処方または頓服という形が望ましいと思います。

一般用の漢方シリーズでも芍薬甘草湯は人気が有り、当店でも取り扱っています。
当店ではその他の臨時処方として芍薬甘草湯に附子(ぶし)を加味した製剤も取り扱っています。

当製剤は、即効性を有しピッタリフィットすれば短期間で「こむら返り」が劇的におさまります。
但し、これで完治したわけではありません。

冷えそのものの体質改善にはやはり前述した当帰芍薬散や当帰四逆加呉茱萸生姜湯を根気よく続けることを推奨いたします。

●芍薬甘草附子湯(しゃくやくかんぞうとう)

体力中等度以下で,冷えを伴うものの次の諸症:こむらがえり,筋肉のけいれん,胃痛,腹痛,腰痛,神経痛

 

◎ここで述べた方剤に関する製剤は、あくまでも当店でのことであり、全ての事例がこれに当てはまるという意味ではなく、個別の証が違えば、処方も変わるということをご理解ください。

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