痛みへの対応と漢方薬
いつも有難うございます。さて・・本日の話題は。。痛みへの対応と漢方薬です。
【ガバペンチン、リリカの適応症拡大について】
ここ近年になり、適応症が非常に広範囲、多科で使用できるという病院のお薬が我が国に上陸しております。
ガバペンチン(Gabapentin)は日本では商品名ガバペンで抗てんかん薬として販売されています。
同一成分のプロドラッグであるレグナイトがレストレスレッグス症候群(むずむず)治療薬として承認され、さらに同系の薬剤としてプレガバリン(リリカ)が疼痛治療薬として承認されています。
現役で働いている40~50代の男女のみならず、高齢者に至るまで、頑固な「腰痛・神経痛・神経炎」は気候が冷え込むと厳しさが増します。現在の病院又はペインクリニックからの服用薬剤チェックをすると、かなり高い頻度で「リリカ」が処方されていますね。
【リリカのお客様が多い昨今】
神経障害性疼痛に「リリカ」さらに線維筋痛症に伴う疼痛に「リリカ」。
・・というわけで、「リリカ」って名前が覚えやすい。苦笑
顕著な副作用は眠気です。めまいやふらつきもかなりの頻度でみられますので、お気を付けください。
詳細は担当ドクター、調剤薬局の薬剤師からの注意事項など服薬指導時によくお聞きください。
とても全国的に評価の高い米国ファイザー・エーザイの優秀薬剤ですが、万人に効果があるわけではありません。
あまり自分には向いていないと思ったら、漢方療法へのスイッチも視野に入れてくださいね。
【痛み対応の漢方】
●痛みにはいろいろあって、激痛は「歯痛」を皮切りに、「群発頭痛」「心筋梗塞」「尿路結石」「骨折痛」「三叉神経」「陣痛」などなど・・・いろいろあります。
●次のランクの痛みでいわゆる「腰痛」。「急性腰痛(ぎっくり腰)」「脊柱管狭窄症」「脊椎すべり症」など慢性的な痛み。
●さらに「しびれ」が伴う痛みとして「交通事故傷害の後遺症」「脳血管障害後遺症」から、最近なぜかご相談の多い「目の奥が痛い」という「顔面神経痛、片頭痛」や、「帯状疱疹痛」など複雑な痛みを伴う症例があると思います。
●漢方では「痙攣を伴う痛み」つまり「こむらがえり」に特効する「芍薬甘草湯」が有名ですが「甘草」の含有量も多いため、あくまでも短期処方であり、長期投薬は控えます。
■芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)(小太郎漢方匙倶楽部)
そうなると、「激痛」は当然ながら病院での対症療法で処置する形となります。
肝心なのは、痛みから解放された予後に再発防止を考慮し、体に優しい漢方療法を導入するのがより自然であると考えます。
漢方処方決定には当人の体質、つまり証の確認が必須であり、それに準ずる各種「方剤」が存在いたします。
その繁用処方をざくっと挙げてみましょう.。
【疎経活血湯(そけいかっけつとう)】
●手足の関節や、腰から下あるいは肩、くび、腕などが痛み、時には腫(は)れたり、しびれたりして日常生活に支障を来たしている方に向いてます。
●年代、性別を問わず、時に夜間に痛みがひどくなったり、寒冷・湿気で悪化するなど、原因やあらわれ方もさまざまです。
疎経活血湯は、経(けい)を疎(そ)し気血(きけつ)の道の通りをよくし血(けつ)を活(い)かして(血行をよくして)症状を改善する漢方です。
当店では、ウチダ和漢薬の「疎風定痛湯(そふうていつうとう)」という製剤が一番人気となります。300包(100日分)の体質改善処方です。
■疎風定痛湯(そふうていつうとう)

【独活寄生丸(どっかつきせいがん)】
下肢が冷えて、体調が思わしくない方の坐骨神経痛、下肢しびれ、腰痛などの特効漢方です。
独活寄生丸は、ちょうど疎経活血湯(そけいかっけつとう)と十全大補湯を足したような処方です。
痺証(ひしょう)とは・・冷えや湿気が体内に入ることで、
腰や手足などの運動機能に生じる痛み、しびれを言います。
つまり気血(エネルギーや栄養)が不足して、筋骨(肝腎)の養分が足らなくなった結果、虚に乗じて邪(寒けや湿気)が入り込む。
このような状態を振り払うのが独活寄生丸の特徴ともいえます。
■独活寄生丸(どっかつきせいがん) 細粒と錠剤ともに人気です。
(小太郎漢方匙倶楽部)

【清上けん痛湯(せいじょうけんつうとう)】
頭痛(偏頭痛)や顔面痛の特効漢方。
麻痺ではなく「痛み」によく奏功する漢方処方。
その名も『清上けん痛湯(せいじょうけんつうとう)』です。
常時、抗炎症鎮痛剤の服用、または医師に薦められ神経ブロック等、実施したが今ひとつ改善しない患者様からのご相談が絶えません。
原因不明の三叉神経痛が多いのですが、 虫歯や副鼻腔炎から誘発される顔面の痛み、帯状疱疹後神経痛のように三叉神経に沿って痛みが出るもの、外傷後の顔面痛などがあります。
清上けん痛湯は頭痛(頭部の痛み)薬に位置付けられており、痛みをとる作用が強く、痛みで高ぶった気分を鎮めてくれます。
ぜひお試しください。1ヶ月分からお渡しできます。
■清上けん痛湯エキス細粒G
(小太郎漢方匙倶楽部)

【その他の痛み】
痛みにはまだいろいろありますね。
長期痛みでお悩みの40肩、50肩の痛みもよく話題となります。「独活葛根湯(どっかつかっこんとう)」が人気ですね。
(小太郎漢方匙倶楽部)
■独活葛根湯(どっかつかっこんとう)

また酷い肩こり痛もよくご相談をお受けいたします。
我慢されてしまう方が多いため、かなり悪化された段階で当店へご来店されます。
いわゆる「お血」が悪さをして「痛み」を発している場合が多く、この場合には丹参(たんじん)含有の生薬製剤二号方(にごうほう)又は環元清血飲(かんげんせいけついん)と、
■生薬製剤二号方(にごうほう)

■環元清血飲(かんげんせいけついん)

・・・さらに
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の併用療法で改善の度合いは大きいです。
■桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

ただし、要注意なのは重篤な循環器疾患から痛みを発するケースも有ります。
例えば、狭心症、心筋梗塞の場合は・・顎周囲、腹部、背部など別の部位が痺れるような疼痛から発作が始まることが多いので注意が必要です。
決して無理をなさらず早めに病院に受診しましょう。
【薬剤師後記】発痛物質について
痛みは人体の発痛物質によるシグナル。
「痛み」は体の中にある発痛物質のせいなのです。
発痛物質は、いつも体内に少量ずつ存在し、神経伝達物質として、神経から神経への情報を伝える重要な役割を担っています。
ブラジキニンは、発痛物質として最初に指定された物質で、炎症の痛みの主役であり、血液中の血漿からできています。
過去は私自身が自ら乗っていた単車で事故を起こし。
愛車はもろにスクラップ状態で、救急車の中で全身痛みに耐えながら、『ああ、この痛みはブラジキニンが体に遊離しているんだなぁ』・・・とまだ生きていることに感謝したものです。苦笑