なつめ(棗)を食して健康増進
【薬膳素材、漢方素材のナツメについて】
秋の夜長、その後に訪れる冬将軍に備えての薬草健康法をご紹介しましょう。
今日はナツメ(棗)です。
ご存知の通り、ナツメやクコの実は薬膳料理で広く用いられている漢方素材です。
鶏肉と一緒に混ぜて甘露煮とか、刻んでの他の中華素材と混ぜて炒めたり、中華料理でもよく使用されているようですね。
主に乾燥したナツメ(ドライフーズ)を用います。
ナツメは栄養価が高く、疲れた時に食すると良いとされています。
ナツメ酒は疲労回復の薬用酒として有名ですね。味も甘くて飲みやすく人気があります。
また、元の生薬である「大棗(たいそう)」は、漢方薬の素材によく用いられ鎮静作用を有します。
中でも「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」という処方が有名で、心身が疲れ、精神不安、不眠などの漢方薬として人気があります。
【乾燥ナツメの入手方法】
庭にナツメの樹があり、多くを入手できる方は、それはそれで良いのですが。
生(なま)ではなく主に煎じてのナツメ茶、薬膳、ナツメ酒などに用いる場合、乾燥ナツメ(ドライフーズ)を使用します。
ご家庭では一度に多くのナツメは召し上がれませんので、長期保存が可能な乾燥されたナツメをご用意しましょう。
乾燥ナツメは、健康食品、自然食品店で販売されていますが、漢方薬局や漢方専門店での購入が一般的でしょう。
漢方専門店のナツメは大手生薬のメーカーから仕入れたもので、主に500g単位で販売されています。(これで充分です)
【ナツメ茶】
乾燥ナツメはそのまま口にして食べてもOKなのですが、どちらかというと妙な味(かすかに甘い)で、あまり適しません。
あくまでも私見ですが、美味ではありません。
そこでお茶にすると良いエキスが浸出し、口当たりも良く、皆で何度か飲め、かつ経済的です。
目安として1人に対して乾燥ナツメを2個(片(へん)の場合は概ね2個分)としてざっくり計算すると良いでしょう。3人ならば6個(片(へん)の場合は概ね6個分)ぐらいが適当です。
現在、ナツメの原形そのものは煎じの効率、刻む手間を考慮し、メーカーではざっくりとカットした片(へん)というスライスした状態のものが販売されているケースが多いと思います。
この方がずっと便利ですので、できれば片(へん)にされてください。
特に薬用酒に用いるのは経験上、片(へん)の方が良いエキスがとれると思います。
500ml~750mlの水の中に乾燥ナツメを入れて煎じます。15分~20分を煮ると良い煎じエキスがとれますので、湯飲みにナツメを一緒に移してこれを飲みます。(一つの湯飲みにナツメ2個)
冬は純粋ハチミツなどを加えて、さましながら飲むと体がよく温まり、ぐっすりと眠れますよ。
※ただし、ナツメそのものが甘いので、ハチミツを入れ過ぎないでくださいね。
【ナツメ酒】不眠症や貧血、精神不安、スタミナ不足が気になる方に・・
ナツメ酒は古くから滋養に良いと言われるパワー薬草の一つです。極めてソフトであり、薬用人参酒が強すぎてダメなケースには、お奨めかも知れません。
薬用酒の中でも、クコシ酒、マタタビ酒、人参酒と並び、ナツメ酒は最もポピュラーな薬用酒と言えましょう。
水を完全に切った空き瓶(フタ付き)と、乾燥ナツメ150~200g、35度焼酎甲類 ・ホワイトリカー 1.8L
※普通は口当たりを良くするために氷砂糖を多めに入れますが、私はナツメ酒には入れません。(ナツメそのものが甘味であるため)
◎ナツメはそのままビンに入れ、ホワイトリカーを注ぎ入れます。
◎約2ヶ月すると飲むことができますが、熟成するほどにまろやかなお酒になります。抜群に美味です。
【ナツメの料理】
◎ご家庭での一般的な料理としては、風邪気味の時に作るナツメ入り粥などがおすすめです。
◎家庭で作る鶏肉、玉ねぎ、ピーマンなどの炒め料理に私はよく乾燥ナツメの刻みを混ぜたり、スープ料理に一緒に入れます。
◎薬膳料理は、クコシ、ナツメ、各種キノコなどを混ぜた鍋ものをおすすめしています。
本格的な薬膳料理は、外の専門店で食べるのが一番世話がないと思います。ただ、日本人の口に合わない例もあると思います。(とても安価で良心的なお店もありますが、基本的に素材が高騰中のため、最近の料金は高めかも知れません。)
専門のレストランへ過去、何度か行きましたが、今ひとつという感じが残りました。(とても贅沢な自分で申し訳ない)
そこで・・・。
【自身の体調と予算に合わせ、自分で作ろう】
せっかくの健康増進のための薬膳料理ですので、ぜひ自分のご家庭でチャレンジしましょう。
塩分制限もドクターから指示されている方、糖分控えめとか・・いろいろあるでしょう。でも自分なりに美味しく食べたい!
さらに経済的であれば、言うことなしです。ご家庭ならさらに家族全員で楽しめる。
こんな素敵な企画とレシピを考えませんか?
冬は、よくマイタケや木耳(キクラゲ)、長ネギを私はよくスープや鍋物にして食しますが、これに乾燥ナツメを少々刻んで入れます。
鶏肉や豚肉も少し入れて、ゴマ油風味。みりん、塩分少々。とてもさっぱりしいて美味。
冬のスタミナ料理、健康料理としても良いでしょう。
【乾燥ナツメの保存について】
乾燥ナツメを使用しつつ、購入した時のビニール包装の口をクリップなどで閉じ、気温が高い夏は冷蔵庫の野菜庫に入れての保存が良いでしょう。
冬場は室温でも良いのですが、厳寒期になるとナツメの甘味の元、「白い点々」が析出することがあります。これはカビではなく糖分ですので、ご心配なく。
なお、ナツメについての詳細な特集記事は
こちらです。
大棗 たいそう タイソウ ナツメ 【資料】